公開日 2026.04.01

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大学公認SDGsユニット02 里山焼かんかね?(島根大学焼畑サークル)​

伝統的な「焼き畑農業」で、
里山を守り抜く

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 SDGsユニットとは、地域または国際社会との、より一体的なパートナーシップ構築を目指し、SDGs達成に資する活動を行う学生や教職員に対し、島根大学が活動を公認したユニットで、令和7年度より新たに開始した取り組みです。
 令和7年度は14ユニットが認定を受け、SDGsの目指す17のゴール目標も様々、多岐にわたる活動を各ユニットが主体的に取り組んでいます。
 ここでは、そんなSDGsユニットの活動を紹介していきます!

里山を救う循環の知恵 放置竹林を豊かな畑に

 かつては日本全国の山村で見られていた、伝統的な焼き畑農業。環境破壊への懸念や過疎化による人手不足で衰退しましたが、外部資源に頼らず森林の再生力を活かす循環性や、休閑による生物多様性の保護といった利点から、近年、持続可能な農法として再評価されています。奥出雲町の『ダムの見える牧場』を拠点に活動する『里山焼かんかね?』のメンバーたちも「火を使うことは危ないという意識を変え、その恩恵を伝えたい」と声を揃えます。活動には、文系理系の枠を超えた学生が参加しており、達成に資するSDGs目標は「13.気候変動に具体的な対策を」と「15.陸の豊かさも守ろう」です。

 彼らが焼き畑に取り組む最大の目的は、深刻化する里山の放置竹林問題と、それに伴う地域課題の解決。手入れの届かない竹林が民家に迫り、イノシシ、シカ、サルといった野生動物の隠れ場となって害獣被害を招くことが、山村の大きな脅威となっています。また、成長した竹が民家の床を突き破る被害も増えています。こうした状況に対し、学生たちは焼き畑の手法を通じて、里山の適正な管理と再生を試みています。

 

 活動は、一年を通して行われます。最も過酷なのは、3〜5月に行う竹の伐採。急斜面に立ち、ノコギリを使って手作業でひたすら竹を切り続けるので体力勝負です。6月になると、切った竹を並べて火をつける「火入れ」を行います。炭には多孔質な特性があるため養分や水分が保持されやすく、その結果、農薬や化学肥料を使わずとも有用な微生物が住み着き、栄養豊かな土壌が形成されます。12月にはそこで収穫した里芋で芋煮を作り、地域住民たちと分かち合う「収穫祭」を開催。交流の場であると同時に、焼き畑の有用性や竹林問題を広く周知する大切な機会となっています。

 行政と連携して有機農法に関する講演会も開催しており、部長(当時)の生物資源科学部4年の岡田愛世さんは「農薬や化学肥料を使わなくても作物は作れるという意外性を知っていただくと同時に、自然環境に思いを馳せてもらう機会にしたい」と意気込みます。伝統の知恵をSDGsへとつなぐ彼らの真摯な活動は、島根の里山を守る大切な一歩となっています。

※本記事は、広報しまだい63号(2026年4月号)で公開された記事をもとに再掲載しています。

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