公開日 2026.07.06

NEWS・EVENT

この光を未来へ——島大生が挑むホタル保全の現場 ​

3種のホタルが共存!?
学生と地域が守る、幻想的なホタルの世界

島根大学WEBマガジン
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日が沈んで辺りが静まり返ったころ、川辺の暗闇にふわりと光が見えました。「あ、いた!」という声に合わせて、ふわりふわりとただよう、その光の正体はホタル。
島根大学教育学部の学生は地域の団体「法吉・白鹿・真山の自然と文化を育む会」とともに、ホタルの保全活動に取り組んでいます。この小さな光を、10年後も、20年後も、次の世代へつないでいく——そんな思いが、この場所にはありました。
今回のイベントは島根大学 教育学部の高屋先生が学生に声かけをされ実現しました。学生はこのイベントへ向けて、試行錯誤を重ねながら、「どうすれば子どもたちはじめ参加者に伝わるか」を考え、ホタルの模型や教材づくりに取り組んできました。
今回は6月6日(土)の「白鹿ほたるの里公園」でのホタル観察会へ親子で参加してきました。

目次

いきなりですがクイズ!この“謎のほうき”の正体は?

左の写真は「菜種がらのほうき」といい、菜種の乾燥した茎や枝を束ねて竹竿の先等にくくりつけたものです。
実はこの「菜種がらのほうき」昔の人なら誰でも知っている“ある使い方”があります。今日のイベントでも使います!それは何かわかりますか?
答えは記事の最後に記載します。

市街地のすぐそばに?ホタルが暮らす意外な場所

今回の会場となった「白鹿ほたるの里公園」は島根大学松江キャンパスから車で約8分、歩いても30分程度でたどり着けます。ホタルが生息するような場所に島根大学の松江キャンパスがあるということは、大学はだいぶ山の中にあるんだなと思われますよね。いいえ、島根大学松江キャンパスは島根県の県庁所在地である松江市の中心地に近い場所にあり、松江城までも「白鹿ほたるの里公園」と同じくらいの所要時間でたどり着けます。つまりホタルの生息が町の中心街から行きやすい場所にあり、かつ3種のホタルが共存する地ということで全国的にもあまり見られない貴重な環境と言えます。
市街地から気軽に訪れることができ、子どもと一緒に楽しめる貴重な観察スポットなのです。

ホタルはなぜここに?生態に迫る!

「白鹿ほたるの里公園」の前に流れている川は北田川といい、辿っていくと松江城を囲む堀川に流れ着くそうです。この川の周りには以前は田んぼや畑がたくさんあり、ホタルも昔からこの辺りでは良く見られており、民家の中に入ってくるようなこともあったとか。
現在は田んぼや畑も減り、住宅街となったことでホタルの数は少なくなりましたが、地域の方たちの懸命な保全活動により、公園が整備され、貴重な自然を守り続けることで、今なおホタルに会うことができる貴重な地域です。
北田川にはホタルのエサになる貝“カワニナ”が多く生息しており、カワニナはきれいな水源の川にしか生息していません。そしてホタルの幼虫は実はかなりの“偏食家”です。食べるのは、たった一種類、カワニナだけ。ゆえにホタルも水源のきれいな地域にしか生息できないのです。
またこの地域、ホタルを守ろうと草刈りによる整備や清掃活動等の地域の方たちのたゆまぬ努力や、たくさんの工夫もされています。その工夫のひとつに「ホタルブロック」と呼ばれるブロックがあり、ホタルの幼虫の隠れ家やエサとなるカワニナが住みやすいように設計された多孔質の護岸ブロックで、コンクリート護岸に代わって用いられ、この地域の自然環境を保全しています。
昨年は多くのホタルがこの地域で見られ、飛翔数は880匹だったそうですが、今年は同時期で265匹と昨年に比べると少ないそうです。理由としては、前年度にホタルの数が多いとエサであるカワニナの数が少なくなるからか、翌年減るということが考えられるそうで、そのことからもホタルが非常に繊細で、少しの環境の変化で影響を受ける生き物だということがわかりました。

「どうすれば伝わる?」島大生の本気の工夫!

このイベントへ参加した島根大学の学生は16名。学生は2~3名の7班に分かれ、イベントへの参加者約50名もそれぞれ分かれる形で島大生からホタルの生態についてのお話を聞きました。班によってどのような教材で話をするか、どう工夫して伝えるか、各々に考えて今日に向けて準備をしてこられたそうです。
私がお話を聞いた班では、教育学部2年生の秋田 歩太さんと村上 潤さんがお話をしてくださり、段ボールで作成したホタルの模型を使ってとても分かりやすくホタルの見分け方を教えてくれました。ホタルの前胸背板(赤い部分)に黒い十字形の紋があるホタルは「ゲンジボタル」、前胸背板(赤い部分)に黒くて太い縦方向の縞模様があるホタルは「ヘイケボタル」、前胸背板(赤い部分)に半円形の模様があるホタルは「ヒメボタル」だそうで、大きさは順にゲンジボタル>ヘイケボタル>ヒメボタルでヒメボタルはメスが6ミリ前後と非常に小さなホタルです。また光り方も、ふわりふわりと光るゲンジボタルやヘイケボタルに対し、ヒメボタルはストロボの光のような点滅に近い光り方をします。個人的に一番驚いたのは、ゲンジボタルは西日本と東日本でも光り方が異なるというお話です。「え、同じホタルなのに?」と思わず聞き返したくなりますよね。西日本では約2秒に1回のペースでせわしなく点滅するのに対し、東日本では約4秒に1回とゆっくり光るのだそうです。まるで方言のように、地域によってリズムに違いがあるのが面白いですよね。
またホタルはオスもメスも光るそうです。求愛行動としてオスしか光らず、光でメスを呼んでいるんだと思っていた私にとっては衝撃でした。オスはおしりの発光器として2つの節があり大きく、対してメスは1つの節のみで小さいそうです。夜間に元気に光りながら飛んでいるホタルはほとんどがオスで、メスは草の葉や枝にじっと止まって、オスを見つけると強い光を放ち、求愛行動に応えるそうです。
お話を聞いた後には、ホタルあてクイズもしてくださり、子どももとても楽しみながらホタルについて知ることができました。

「いた!」が止まらない!初めて出会ったヒメボタル

掲載している写真からもだんだんと暗くなってきた様子が伝わるかと思います。日も落ち、暗闇に包まれる公園にて、参加者でホタルを探しに行きました。静寂の中、目を凝らすとほのかな光が浮かび上がります。「あ、いた!!」「こっちも光ってる!」という声が次々と響きました。
暗くて足元も悪く歩きにくいかなと思っていましたが、道が整備されていてとても観察がしやすい環境に整えていただいていると感じました。子どもを連れていても安心してホタルの観察を行うことができると思います。
途中、ヒメボタルを見つけた際には「わぁ!!ヒメボタルがいる!!!」と歓声が上がりました。島大の学生がそっと捕まえて、子ども達はじっくりとヒメボタルを観察していました。手のひらのホタルは、思わず「うわぁ小さい…」と声が出るほど、とても小さく可愛かったです。

この光を、これからも 未来へつなぐ取り組み

このイベントに参加された島根大学教育学部の松田うららさんは、「国立大学の徒歩圏内にホタルが見られる現場があるのはとても貴重。現地の方たちと交流しながら、知らなかった知識も教えてもらえてとても勉強になり、良い経験になりました」との声がありました。
島根大学 教育学部の高屋先生からは、「島根大学としてのこの取組は今年度から始めたが、今後もこの活動を続けていきたい。」とのことでした。

市街地から近くアクセスのしやすい地域で、ゆっくりとホタルの観察ができる法吉町の「白鹿ほたるの里公園」。これからも地域の方たちと交流をしつつ、この初夏の小さな光が、これからもずっとこの場所で見られますように。
学生と地域の想いがつながる取り組みは、今日も静かに続いています。



★ほうきの使い方は?…ホタルを捕まえるために使います!

昔は子供たちが虫取り網を簡単に買うことができなかったため、身近にあった菜種の茎を使って「菜種がらのほうき」を手作りし、ホタルを捕まえていたそうです。
空中を飛んでいるホタルを広がった穂先でふわりとすくい取ります。穂先の中にホタルが入り込むと、ホタルを傷つけずに捕まえることができます。
皆さん、わかりましたか?

ShimaDAYライター
あいほの
鳥取県米子市出身。島根大学企画広報課職員。
昔から大の生き物、動物、自然好き。休日は子供と虫を捕まえて観察したり、家族の反対を押し切り作った家庭菜園スペースで園芸を楽しんでいる。天気が良いとご機嫌な雨女。双子育児に奮闘中!

ShimaDAYライター
あいほの

鳥取県米子市出身。島根大学企画広報課職員。昔から大の生き物、動物、自然好き。休日は子供と虫を捕まえて観察したり、家族の反対を押し切り作った家庭菜園スペースで園芸を楽しんでいる。天気が良いとご機嫌な雨女。双子育児に奮闘中!

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